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右往左往 2025 10
毎日走り回っているつもりでも所詮大自然の掌で右往左往しているのが関の山そんな私のひとりごと(紫野 木庵 庵主 公童法師)No118
福田衣(ふくでんね)「今年も九月恒例東大寺華厳教学研修会へ参加させていただきました。昨年得度された新入から彼のように24回目の古株まで40人あまり管長猊下の華厳経解説から宗務長の宗規宗則そして諸作法まで三日間のカリキュラム、その中で袈裟を身に着ける時の作法が印象的だった。彼の着ける袈裟は南都袈裟とか襷袈裟と呼ばれる、奈良をはじめ京都では清水寺さんと壬生寺さんが着用しておられる。チャンバラ映画で言われる袈裟懸け切のように左肩から右脇下に着付けます。まず袈裟をたたんで両手で持ち上げ、小さな声で「大哉解脱服 無相福田衣 被奉如戒行 広度諸衆生」「だいさいげだつぷく むそうふくでんね ひぶにょかいぎょう こうどしょしゅじょう」意味は「大なるかな解脱へ導く服よ、形あるものを離れた悟りの実りをもたらす福田の衣よ、この衣を謹んで被着し戒律を守り修行に励み広く衆生を悟りに導こう」とパソコンのAIは教えてくれる。ここの「悟りの実りをもたらす福田の衣」お釈迦様の時代稲が実る田んぼとそれを囲む畝を表し五つの田を六つの畝で囲んだものが五条袈裟現在は略され二つの田を三つの畝で挟んであらわされています。「福田とはお釈迦様の教えとも言われ田を耕し実りの秋に収穫するように教えを広め皆さんが悟りを得られるように努力しなさい。」とのことらしい、得度させて頂き30年この偈文を読みあげナムナムナムと経を読む日々「初心忘れたらあかんでー」と師の声が聞こえる。

福田衣 黒き衣の 上につけ 鹿啼く寺の 参道を行く (公童法師)
いろは説法11(きくだけではものたらない)法語17日は「聞くだけではものたらない、人生は体験の積み重ねでなくてかたれぬ」です。今回の研修会で本坊山門をくぐった時昔のことを思い出しました。あれは得度させていただく前ですので平成五年頃だと思います。東大寺本坊広間で会議があるとのことで師の塔頭から軽トラックでお送りすることになりました。大仏殿前を通りまだ砂利が敷かれた本坊山門の前まで入り車を降りたところで「迎えはいいから座敷で墨すっといて」と指示があり「はい」と言って車に乗ってしまいました。公照先生は石段を上がり鹿よけの柵を開けて入られてこちらを振り向かれニコッと笑われました。師のニコットには舞妓さんの「へえおおきに」と同じで二種類ありまして両頬が上がった時は「そうやそうや」なんですが右頬だけが上がった時は「こいつわかっとらんなー」となります。もちろんこの時は右頬だけ、しまったと思った時は遅かりし由良助で、私は運転席に座ったまま玄関を上がられ障子を開けて中に入られるまで見つめておりました。その後得度させていただいた後の平成八年ごろ塔頭に京都のお寺のご住職さんが来られお話が終わり迎えの車が来た時、普段は「ここで失礼します。」と言われるのですがその時は塔頭の山門まで出て手を振っておられました、そして私に「今車はどのあたりですか」と聞かれ「つじを右に回られ坂を下って行かれました」と答えると「そう」と言って塔頭の中に入っていかれました。当時歩くとき足元がみえにくいと言っておられた頃です。親の背中を見て育てるではありませんが私には無言の教えでした。「聞くだけではものたらない、人生は体験の積み重ねでなくてかたれぬ」失敗失敗又失敗一日終わって又反省。秋彼岸お日様は真西に還る。
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第7858号